unicmapで変換したフォントでは、以下の25文字をOpenTypeのグリフ置換の機能で表現しています。システムがOpenTypeのグリフ置換をサポートしていれば、これらの文字は合成済みグリフを使って正しく合成された状態で表示されます。
(2004-03-15追記)ダイアクリティカルマーク付きの欧文は、OpenTypeのグリフ置換がサポートされていなくても、重ね打ちによって合成される可能性があります。ダイアクリティカルマークが(重ね打ちによって)合成可能であるかどうかは、変換前のフォントの実装に依存します。変換前のフォントで重ね打ちによる合成が可能であれば、同様に合成可能です。
(2003-12-09追記)合成用濁点・半濁点も、グリフ置換をサポートしていなければ重ね打ちで合成される可能性があります。重ね打ちで合成された場合、合成済みのグリフを使うのに比べると当然表示品質は低下します。(2004-03-15追記)合成用濁点・半濁点はJIS X 0213のレパートリに含まれていないため、unicmapが変換時に生成します。したがってこれらの文字の重ね打ちによる合成は常に可能です。ただし縦書き用のグリフは用意しないので、縦書き時には正常に合成されません。
(2004-03-15追記)声調記号の2文字は、本質的に重ね打ちでは合成できません。これらの文字を合成するためにはOpenTypeのグリフ置換をサポートしていることが必須です。
(2005-05-15追記、2010-12-30変更)表に示されている文字名称は、Unicode4.1のNamed Character SequencesおよびISO/IEC 10646:2003/Amd.7:2010で追加されたNamed UCS Sequence Identifiersの名称です。
面区点 | Unicode 3.2 | 文字名称 | |
---|---|---|---|
か゚ | 1-04-87 | U+304B U+309A | HIRAGANA LETTER BIDAKUON NGA |
き゚ | 1-04-88 | U+304D U+309A | HIRAGANA LETTER BIDAKUON NGI |
く゚ | 1-04-89 | U+304F U+309A | HIRAGANA LETTER BIDAKUON NGU |
け゚ | 1-04-90 | U+3051 U+309A | HIRAGANA LETTER BIDAKUON NGE |
こ゚ | 1-04-91 | U+3053 U+309A | HIRAGANA LETTER BIDAKUON NGO |
カ゚ | 1-05-87 | U+30AB U+309A | KATAKANA LETTER BIDAKUON NGA |
キ゚ | 1-05-88 | U+30AD U+309A | KATAKANA LETTER BIDAKUON NGI |
ク゚ | 1-05-89 | U+30AF U+309A | KATAKANA LETTER BIDAKUON NGU |
ケ゚ | 1-05-90 | U+30B1 U+309A | KATAKANA LETTER BIDAKUON NGE |
コ゚ | 1-05-91 | U+30B3 U+309A | KATAKANA LETTER BIDAKUON NGO |
セ゚ | 1-05-92 | U+30BB U+309A | KATAKANA LETTER AINU CE |
ツ゚ | 1-05-93 | U+30C4 U+309A | KATAKANA LETTER AINU TU |
ト゚ | 1-05-94 | U+30C8 U+309A | KATAKANA LETTER AINU TO |
ㇷ゚ | 1-06-88 | U+31F7 U+309A | KATAKANA LETTER AINU P |
æ̀ | 1-11-36 | U+00E6 U+0300 | LATIN SMALL LETTER AE WITH GRAVE |
ɔ̀ | 1-11-40 | U+0254 U+0300 | LATIN SMALL LETTER OPEN O WITH GRAVE |
ɔ́ | 1-11-41 | U+0254 U+0301 | LATIN SMALL LETTER OPEN O WITH ACUTE |
ʌ̀ | 1-11-42 | U+028C U+0300 | LATIN SMALL LETTER TURNED V WITH GRAVE |
ʌ́ | 1-11-43 | U+028C U+0301 | LATIN SMALL LETTER TURNED V WITH ACUTE |
ə̀ | 1-11-44 | U+0259 U+0300 | LATIN SMALL LETTER SCHWA WITH GRAVE |
ə́ | 1-11-45 | U+0259 U+0301 | LATIN SMALL LETTER SCHWA WITH ACUTE |
ɚ̀ | 1-11-46 | U+025A U+0300 | LATIN SMALL LETTER HOOKED SCHWA WITH GRAVE |
ɚ́ | 1-11-47 | U+025A U+0301 | LATIN SMALL LETTER HOOKED SCHWA WITH ACUTE |
˩˥ | 1-11-69 | U+02E9 U+02E5 | MODIFIER LETTER EXTRA-LOW EXTRA-HIGH CONTOUR TONE BAR |
˥˩ | 1-11-70 | U+02E5 U+02E9 | MODIFIER LETTER EXTRA-HIGH EXTRA-LOW CONTOUR TONE BAR |
Windows Vista以降は標準でフォントも含めて完全対応しており、何も考えずに表示できます。
日本語の合成に対応したUniscribeが必要です。
(2004-03-31追記、2004-11-06更新)Windows XP SP2には必要なバージョンのUSP10.dll(正式版で1.420.2600.2180)が含まれています。さらにInternet Explorerも更新され、フォントさえ用意すれば後述する声調記号も含めてJIS X 0213のすべての合成文字が表示できるようになります。ただし合成文字をサポートしたフォントそのものはまだ付属していません。(2010-12-30追記)標準では付属していませんが、JIS2004対応フォントやメイリオがWindows XP向けにも提供されるようになりました。
(2004-12-27修正)また、Word Viewer 2003をインストールすることでバージョン1.471.4063.0のUSP10.dllが入手できるようです。この場合、システムのUSP10.dllが置き換わるわけではないので、アプリケーションのディレクトリにコピーする必要があります。
(2004-03-16追記、2004-12-27更新)XP SP2もしくはWord Viewer 2003のUniscribeを使うと、v1.03以前のunicmapで変換したフォントにBMP超の漢字が含まれていても表示できなくなります。v1.04以降で変換し直してください。
(2004-03-15追記)Windows XP SP1付属のUSP10.dll(バージョン1.409.2600.1106)およびIE6SP1付属のバージョン(1.408.2600.1020)でも、片仮名+合成用半濁点と声調記号だけはグリフ置換が機能することを発見しました(ただし後述するように声調記号はXP SP1以前のIE上では合成されません)。
(2004-03-16追記)仮名+合成用半濁点は横書きでグリフ置換がされていても、縦書き時にはグリフ置換がされなくなるようです。
Windows 2000/XP以降の場合、Unicodeアプリケーションであれば通常のアプリケーションからでもこれらの文字を利用できます。それ以前のWindowsでも、テキスト出力にUniscribeを使うように設計されていれば表示はできます。
Internet Explorerで表示するには上記のUniscribeの条件に加え、Win9xの場合5.5以降、NTの場合5.0以降のバージョンが必要と思われます。また、合成文字を持ったフォントを指定する必要があります。自動的に選ばれることはありません。(2004-03-31更新)さらに、声調記号上昇調と声調記号下降調の2文字は、Windows XP SP2に付属するInternet Explorer 6.0 SP2(以降)でのみ合成されます。
Adobe製のアプリケーションは対応していると思われます(持っていないので未確認)。
(2003/12/12追記、2003/12/14更新)Adobe SVG Viewerでは、合成文字だけではなくどの文字もまったく表示されません。SVG Viewerは、指定したフォントにシフトJISのcmapが存在すると(たとえUnicodeのcmapが別に存在していても)文字を表示できなくなります。(2005-05-28追記)環境によってはこの問題が発生しない可能性もあるらしいですが条件は不明です。(2005-06-08追記)SVG Viewerに付属しているCoolType.dllのバグが原因です。
Adobe Readerでフォントを指定したPDFを表示する場合には、とくに問題は発生しないようです。(2005-06-08追記)決して勧めはしませんが、Adobe Reader 6に付属のCoolType.dllをシステムフォルダにコピーするかSVG Viewer付属のものの代わりに使うようにすると、SVG Viewerでも問題なく表示できるようになります。
MozillaはOpenTypeのグリフ置換に(すくなくとも日本語では)まったく対応していないようです。ただし合成用濁点/半濁点を含むフォントがある場合、それを使った合成を試みるようです。濁点/半濁点の部分だけが仮名文字本体と違う書体になることもありえます。
(2004-11-05追記)Mozilla Firefox 1.0 PRはいつのまにか合成に対応していました(Windowsでは今のところ2000/XP以降でのみ対応しているようです)。XP SP2(のUniscribe)の場合、事前に日本語フォントに設定しているフォントが対応フォントであれば、すべてがグリフ置換で合成されます。対応フォントでない場合でも、日本語フォントとして設定しているフォントに含まれない文字だけで構成される合成文字(具体的には、MS 明朝を設定していればKATAKANA LETTER AINU P / MODIFIER LETTER EXTRA-LOW EXTRA-HIGH CONTOUR TONE BAR / MODIFIER LETTER EXTRA-HIGH EXTRA-LOW CONTOUR TONE BARの3文字)はグリフ置換で、他は重ね打ちで合成されます。
(2011-01-15追記、2011-02-12更新)WebKitは、少なくともWindows上ではラテン文字以外の合成に対応していないようです。たとえWindows 7でもGoogle ChromeやSafari for Windowsはまともに表示できません。ただし選択などの動作では、声調記号以外は1文字扱いになっています。Linuxでは、逆にGoogle Chromeなら問題なく合成できるのにFirefoxだとうまくいかないようです。(2011-04-18) Windows版のChromeやSafariでも、CSSで「text-rendering: optimizeLegibility;」を指定すると結合文字を合成してくれるようです。ただし結合文字を含んだフォントを指定しないと結合文字のフォールバックもしてくれないのでかえって表示が悪化します。